砂の器(第5話)

「崩れ始めた嘘の人生」




あさみと一夜を過ごし、そして別れる時の、
「君の背中は君の生き様をしっかり映している。誇りに思えばいい。」
と言う和賀の言葉。
この時点ではもうあさみとは逢うまいと和賀は思っていたのでしょうね。
そして、守ってあげたい存在としての関川と新しい人生を歩みたいと決意した玲子。
その彼女に対しても、これでもう最後だろうと思った時に和賀がかけた「お腹の子のことを関川が喜んでくれるといいな」と言う優しい言葉。
不幸はどこかで断ち切らないといけないと、心から語り掛けた和賀。
和賀の回想の中に、三木謙一に言われた「ヒデオはきれいな眼をしている。その眼がある限り大丈夫。」というのがありましたが、それが見えた気がしました。
和賀英良は本当はきっと、とても純粋な男なのですよね。
あさみと一夜を過ごした後、朝日の中で弾く曲も素敵でした。
彼にとっての過去が彼の中で重すぎて、それを断ち切るために嘘をつき砂の器のように脆い栄光にすがって今日まで来てしまっただけの人。
玲子は関川と違って和賀は強い男だと思ったようだけれど、本当は和賀が一番弱くて哀しい男だと思いました。

今日は怒涛の展開でした。
結局のところ血のついた白いタートルネックの切れ端と、それを撒いていた女の正体が判ったのみで、伊勢まで行って和賀の写真をそこで今西が見つけたのに当然ながらこの段階では第六感が働かず・・・・・
でもこれらがきっと後で色々繋がってくるんでしょうね。
これまではテンポがスローすぎて視聴者が焦れたかといわれる部分も確かにありましたが、あの時の丁寧な描写も、きっと後半で活きてくるのでしょう。
映画などにあったシーンも沢山出てきましたが、パズルのように組み合わせられていくのがいいですね。
紙吹雪の女に対する新聞コラムの記事も、偶然と第六感に頼ったものではなく、捜査に行き詰まっていた刑事たちがいかにも飛びつきそうな内容にうまく変わっていました。
こうした変化と対比も、結構楽しいものです。
何と言っても、予告のスピードが凄かった。
来週にさらに期待できそうです。
ついに今西VS和賀が見られるようですが、この辺がじっくりと見たい。
謙さんの恐ろしいほどの迫力のある眼力と、中居くんの眼力の対決が楽しみ。
予告では、市村さんとのシーンもあったようですが、こちらも楽しみ。
又、亀嵩の駅の蒸気機関車がどうのと言うシーンも、もしかして和賀の過去に結びつくのではと想像しているところです。

伊勢の映画館のシーン。
ちょっとコミカルな斉藤洋介さんのお芝居に和みました。
時代を反映して、観に行った映画が寅さんではなく「陰陽師2」ってのも(笑)。
「模倣犯」だったら、即犯人に結びついたのになあと馬鹿な事まで考えちゃいました(笑)。
又今日は吉村刑事が大活躍でしたが、いつもは和み役のこの可愛い刑事さんが、土砂降りの中で泣きながら布キレを捜していたのがいじらしく可愛かったです。

衣装係から再スタートしようと決意して麻生の元に戻ったあさみ。
最後の麻生の言葉が優しかった。
やはり麻生はあさみに試練を与えているのでしょうか。
最後にはあさみは大女優へと転身するような気がしています。
そんなあさみと対照的に、どんどん破滅に進んでいく和賀。
今回の事件の捜査の本部が解散したと知ってホッとするかと思いきや、本当に善人であった三木の事を思い出し、罪の意識にさい悩まされている。
最後に、自ら切った筈のあさみの元にふらふらとやってくる。
「宿命」の曲の1フレーズを最初に聞かせたかったのはあさみだったんですね。
この曲がすべて完成した時、和賀の心は浄化し、そして和賀英良としての人生は終わりを告げようとも曲に込められた魂の旋律は永遠のものとなるのでしょうか。





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