砂の器(第4話)

「亀嵩の謎」




あさみさん、こんな事で負けてたらこの後女優なんか続けていけないよって、思わず心配してしまった回でした。
新しい劇団探すよりは、端役でいいからオーデションで挑戦したらどうだろうかとも。
舞台ではなく映画やドラマの世界だったら、50歳でも60歳でも需要がさらにあるのではないかとも。
市村正親さん演じる麻生も、一度は主役にしようと思った女性なのに、ここまできつく言うって裏に何かあるのでは?と思わず深読み。
「30過ぎて肩に力を入れるのはみっともない」
と言う言葉も、ある意味真実をついているような。
もっと柔軟に伸びやかに自分自身を解放して行ってもいいわけです。
あさみも、脱皮の時がもしかして近づいていたんでは。
けれど実際新しい劇団も見つからなくて、背水の陣に追い込まれてしまったあさみ。
そんなあさみにとっては和賀は救いの光と言うか、実際命の恩人でもあるし誰よりも強い負けない憧れの存在なんでしょうね。
「自分で決めた事なんじゃないのか」「今までの人生の事だ」「君の選んだ生き方」
その和賀の言葉が胸に染みました。
生きていくと決めたからには、そのくらいの強い覚悟が必要なんだと思いました。
和賀の場合は、その為に大きな罪をも背負い込んでしまったけれど・・・・・
さて、今日は亀嵩で延々と続く走査と聞き込みの中で、ついに三木謙一が過去に行き倒れになりかけていた浮浪者のような親子を助けた事が判明。
刑事2人はそれが真犯人に結びつく事にはまだ気づいていない訳ですが。
「全ての善行が人に感謝されるとは限らない」
三木謙一がいかにいい人であったかを証言する人たちの言葉を聞いているうちに、思わずそんな言葉が思い浮かびました。
特に、神社で捨て犬を飼っている子供たちを見て、三木謙一だったら子供の親の所へ行って飼ってやるように頼み込むだろうというくだりです。
それぞれの家の立場もあるし、もしかしたらその犬は今が幸せと感じているかも知れないし。
愚直なまでに正直で、人の世話を焼いて感謝されてきた三木巡査。
亀嵩という土地柄で、そこで住む人々にとってはそれで村共同体も回って来たのかもしれないけれど、幼い日のデリケートな心のヒデオにとっては果たしてどうであったのか。
又、今西刑事の子供の頃の誘拐事件の話にも少し引っ掛かるものが。
もしかして、この誘拐犯と和賀の父は、何らかの繋がりがあるんじゃないでしょうか?
そして、遂に出た、「紙吹雪の女」。
今頃何故紙吹雪?どう結び付けていくの?と思っていたのですが、あれは和賀英良に過去に捨てられ、そして現恋人である関川に対して和賀がキツイ言葉を投げつけたと知った玲子の腹いせによる行為だったのですね。
ただ、あの関川にたいする言葉は、世の中にいる一部の芸能評論家に対して投げつけてやりたいほどの真実をついた厳しい言葉でしたね。
真実を付いていたので関川も傷ついたような気がしました。
とにかく、何かいわく付きの血まみれの証拠品を見つめる玲子の瞳。
和賀との訣別をも込めたのか、燃やせと言われたものをわざわざ人目に立つように電車の窓からばら撒いた玲子。
原作でも映画でも死ぬ運命にある関川の愛人もしくは紙吹雪の女ですが、このドラマでもそう言う運命を辿るのでしょうか。
関川が、彼女をどう思っているかにもそのキーがありそうです。
「行方不明?」と言う予告での今西刑事の言葉は、玲子を指すんでしょうか。
そんな中、産みの苦しみに耐えて「宿命」の曲を書き上げようとしている和賀。
芸術家には芸術が命。
その人がどんな過去を背負った人間であろうと、その作品は残る。
クラシックのような世界は違うと思いますが、もともと芸能人とかって、どんなに差別を受けてきた人間でも、唯一生き残れる場所ではなかったでしょうか。
この作品を仕上げたら、自分に地位と名誉を約束してくれる田所令嬢と共に日本を旅立とうとしている和賀が切ないです。





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