白い影第5回感想

★禁じられた薬★


今回は、積極的で一途な倫子と、儚げな直江が対照的で印象的でした。
自分の気持ちに気づきながらも、そんな倫子の気持ちに答えられず冷たく突き放してしまう直江先生。
けれど、直江先生にはきっと何かがあると思っているから、倫子はめげない。
タンポポは愛らしいだけではなくて、その根は深く強く逞しい生命力に溢れているのですよね。
そんな彼女の生命力に、直江もまた惹かれている部分があるのでしょうか。
けれど、日の光が似合う倫子には、自分のような死と背中合わせの男は似合わないと思っているのでしょうか。
「俺は君が思っているような男じゃない」って・・・
切ないです。
本当は、倫子がくれたガラスのかけらをいつもそばに置いておくくらいに倫子を愛し始めているようなのに。
すがり付いてしまって、脆くも自分が崩れてしまう事を畏れてもいるのでしょうか。
今回は直江先生のプライベートシーンが多く、その細腰と姿態がいっそう儚げでした。
又、両親の薦める小橋先生との縁談話と、直江先生への思いとの板ばさみになって苦しむ院長令嬢三樹子。

彼女の屈折した切ない想い。
又、結局は直江を看板医者にして、自分の言いなりになりそうな小橋先生を経営者にとの思惑を持つ院長先生。
そして製薬会社のMR小夜子と直江の、怪しい共犯関係。
色々ともつれてきて、次週からの展開に更に期待です。
そして、患者の石倉さんの姿に、もしかしたら自分の姿を重ね合わせてみているかも知れない直江先生。
「生き方よりどう納得して死を迎えさせて上げられるか。そのために僕らが何をして上げられたか」
石倉さんが自らの死を感じた時、自分の命の為にどれだけの手が尽くされたかを知ることが大事、と。
一生懸命働いてきた石倉さん夫婦に、一ヶ月にたった6本のアルブミンしか与えて上げられないのは辛い、と。
保険のあり方、と言う問題にも繋がってくる訳ですが、もしかしたらこのことが知れた時に、全て自分で責任を被る積りに違いない必死な直江先生の眼の色を見ていて、その奥に秘められた熱い心と医者としての哲学を感じた気がしました。
その心に感じて、小橋先生も本当はしてはいけないことと知りながら、自分の患者の保険で石倉さんの薬の保険を賄う事を受け容れてくれたのでしょうね。
看護婦さんたちも「対立する二人の美しき外科医」って二人の討論を喜んでいる所を見ると、周りから見ても真剣さゆえの討論と言うか、いい関係なのでしょうか。
石倉さんも、本当に直江先生を心の支えにしているようですね。

そんな石倉さんが、春を焦がれて吹くハーモニカの曲「花」。
胸に染みました。
又、流石は昔ビートルズ来日の時に、その前座を務めたというドリフターズのいかりや長介さんだなと思った名演奏ぶりでありました。





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