白い影(第三回)感想

★特別個室の秘密★


倫子が先週一生懸命掘り起こしていたタンポポ。
やはり、石倉のおじいちゃんに持っていってあげるものだったのですね。
石倉さんの嬉しそうな顔。
たとえ嘘でも、やはりこの笑顔は何物にも変えがたいものかも知れないなあと思いました。
石倉さんの年齢を考えると、後で結局死んでしまうし春は見られないのだと判っていても、こういう選択もありなのかもしれない、と思いました。
後で、病室でひとり、冬のタンポポや大空を窓から見上げながら、淋しそうな顔をしていた石倉さん。
もしかしたら・・・・・と一人想う瞬間だったのでしょうか。
でも、結局石倉さんは口に出さない。
そしていよいよ今回の患者、女優宇佐美繭子のスキャンダルを恐れての緊急での入院。
直江先生がすっと出てくるタイミングも良かったし、かなりのハイテンポで今日のストーリーが展開して、目が離せませんでした。
マネージャーさんは最初から直江先生を指名してきたし、行田院長に繭子との男女の関係を聞かれた時の直江先生の表情からして、直江先生と繭子は本当にそう言う深い関係だった時期があったのかも、とちょっとドキドキしてしまいました。
それにしても、小橋先生にしたら、最初彼女が運ばれてきた瞬間から、自分が全く信用されていなくて拒否されたと言う事に、相当な屈辱感を覚えた事でしょうね。
それにしても、モノトーンしか着ないはずの直江先生の白衣の下の青い衣装が、胸元を妙に色っぽく見せてドキドキしました。
そしたら、これはもう手術着に着替えていたからなのですね。
この用意の良さからして、やはり直江先生は繭子とは知らない仲ではなかったのかも知れないなと思いました。
前の病院で彼女を内密に診て、その時にそう言う関係になったかも?
原作では今回の退院後に関係を持つ事になっていたけれど、それが過去の関係、ということになったのかもなど、色々想像をめぐらせてしまいました。
又、製薬会社の小夜子が、行田院長と直江先生が繭子のことで秘密裏に話しているときに現れて、そのムードがなんとも色っぽくてよかったです。
そして、二人きりになった時に目尻を下げて微笑む行田院長。
その一瞬の津川さんの演技で、ああこの二人は愛人関係にあるのだなという感じがして、流石だと思いました。
思わず、したたかな色好きな院長の一面が見えた感じでした。
それにしても、中居くんの手際が今日のハイテンポな処置の中で、きびきびとして大分医者らしくなりましたね。
それ以上に「直江=天才医者」と言うのを感じさせてくれるシーンでした。
そして、この女優の我が儘に付き合わされ呼び出される倫子。
でも、直江先生が言うとおり、倫子はきちんとナースの自覚も持った自立した看護婦。
それを、振り回されて可哀想だの言うのは、逆に倫子に対して失礼かも知れないですね。
けれど、それとは別に、一生懸命働く彼女を思いやって、ちゃんと食事にも誘っていた直江先生。
「川は友達」と言う倫子。
そこに、元ボート部で、川に空や川、そしてもしかしたら自分自身の生きている今の鼓動そのものを感じに行っているのかもしれない直江先生と倫子の、心が通い合えるかも知れない部分を感じました。
そして、伏線として、この繭子が特別室に入院した事で、元の個室に戻された次郎が出てくる。
そして病院からさえ追い出されそうになる。
実際は、見ててももう通院だけで十分そうな次郎がこの病院に拘りつづけるのは、幼馴染みの倫子の傍に居たいからだけではなかったのでしょうか。
それを、追い出されそうになったと言う事実と直江先生へのやり方へのおそらく反発から、正義感に火をつけられた小橋先生が、入院代まで立て替えて次郎を引きとめた。
そして、内部の休憩室にまで次郎を出入りさせる事を許す事態を招いた。
お陰で、繭子のことで直江先生と小橋先生が対立している様子を見られ、女優の極秘入院と言う病院内の秘密まで知られてしまった。
次郎って、おそらく「いい奴」だと思うのですが、色んな意味で世間知らずなのとその弱さの為に、自分が今どんな悪い事をしているのか深く考えずに行動を起こすタイプのようなので、結局小橋先生の好意を仇にしてしまうような事(病院の重大な秘密をマスコミに売る)になってしまった。
結局、困っている患者は、この次郎に限った事ではなく、実はもっと困っている人もいるかもしれないわけで、それを一人だけ贔屓にして特別に医者がお金を立て替えてやると言う事は、理想に燃えている小橋先生には、実はこれこそ不平等な行為かも知れないって判らなかったのかも知れませんね。
秘密を漏らした責任の一端を、彼自身も背負ってしまう事になる(原作では若い医者の小橋先生が間違って電話で喋ってしまった事になっていたけれど)。
そして、今日も激痛に苦しむ直江先生。
倫子のことでせっかく笑顔が生まれそうになったのに、時折襲うこの激しい痛みに悶えるその迫力に、ドキドキしてしまいました。
原作どおりの病名なら、もう半端じゃない痛さだそうですね。
「誰もが君のように強いとは限らないんじゃないか?」
そう小橋先生に言われた直江先生の顔が、本当に淋しそうでした。
誰よりも今、強さを渇望しているのは、直江先生自身かもしれないから。
そして、自分が患者さんに何もしてあげられないと、そのことを思いつめ自分を歯がゆく思う倫子。
石倉さんのことも、そしてやはり彼女なりに必死に生きている女優繭子にも、自分では何の力にもなれないかも知れないと言うことも。
繭子もまた、女優と言う仕事に命を賭けて必死で生きている。
一生懸命直向に生きている倫子だから又、なおさらその痛みに感じてしまって、私は何をやっているんだろうって思ったのかもしれないなあと思いました。
川に泣きに来た倫子。
そんな彼女に、一呼吸つかせることをさりげなく教える直江先生。
彼もまた、人に言えない悲しみを持っているから。
そして、そんな直後に過労から貧血を起こしてしまった倫子。
病院からは、繭子が病院から姿を消したとの通報が入ってくるし。
これで、直江先生と倫子はもっと急接近ですね。
倫子を演じる竹内さんが小さくて可憐なので、いつもは華奢で可憐な印象が強い中居くん(笑)でも、彼女を抱え上げられる訳ですね。
番宣?と思しきさんんまさんの番組で映った収録風景では、中居くんにお姫様抱っこをして欲しいといってやってきた巨体の女の子が、逆に中居くんをお姫様抱っこしてたけど(笑)。
でも、竹内まりやさんの歌と、セピア色のタイトルバックを見て思うのですが、やはり直江先生はその彼自身の闇の中から女性の側で救い出してあげて、抱きしめたくなるそんな儚くてせつないひと。
来週も、なかなかリズミカルな展開のようで、いよいよ佳境に入ってきたなと言う期待感を持ちました。
踏み込みたいのに踏み込めない、なかなか心を割れない切ない直江と倫子の愛情も描かれそうで楽しみです。





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