白い影(第二回)感想

★医者がつく嘘★


今回は、本当に切ない思いで一杯な気持ちにさせられた回でした。
患者を助けられない。
確実に死ぬと判っている患者を前に、医者としての現在の非力さを痛感する気持ちって、本当に辛いだろうなと思いました。
癌告知。
それをするかしないかと言う、ここ自体にもう「医者がつく嘘」が生まれてくる。
この原作が書かれた当時などは、告知しないのが普通だったので、なおさらだと思いました。
現在でも、それを告知するかしないかの決断は、大変なものだと思いました。
告知した方がいい患者さんと、しない方がいい患者さんがいる。
それは、やはり人それぞれなのでしょうか。
告知される事で、前向きに自分の最期と向き合えるタイプの人と、確実に駄目になってしまう人がいる。
命を預かる医者の苦悩の一部を感じた思いでした。
「いかに納得した死を迎えさせて上げられるか」
と言う直江先生の言葉。
目先のヒューマニズムは、素人にだって言える。
けれど医者として後々のことまで考えた時に、どう決断するか。
難しいなと思いました。
小橋先生の考え方は、逆にその事に対して私たちならきっとまず持つ疑問点の代弁だったのでしょう。
その中で「全ての嘘が不幸とは限らない」
これは、医学だけではなく、日常生活についてもいえることなのではないかという意味で、ドラマの人間模様に繋げてあった今回の物語。
直江先生は一見無謀で冷たそうだけれど優しい。
そして深い。
直江先生が抱えている「ある秘密」。
それには春を迎えられない石倉さんと通じる所があって、自分が医者なだけにそれと直面していかなければならない、その悲しみ。
そんな、真っ暗な直江先生の孤独感を救ってくれるのは、倫子の明るさ――タンポポのような明るさなのでしょうか。
倫子の可愛さが光に見えました。
最後に、冬に咲くタンポポを大切そうに掘り起こしていた倫子。
このタンポポは彼女自身かも知れませんね。
彼女は、このタンポポを植え替えて、石倉さんに持っていこうとしたのでしょうか。
それを見る直江先生の目が優しく微笑んで、つかの間の幸せを掴んだかのように見えました。





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