白い影(第一回)感想

★誰も愛さない医者★



今回は、初々しい看護婦の、竹内結子ちゃん演じる倫子からの視点でストーリーが展開。
倫子が若返った事が、現代の「白い影」としては案外良かったんじゃないかな?と思いました。
この彼女の視点から、若い世代も感情移入して行けるかもしれないなと思いました。
結子ちゃん、とても可愛かったです。
そして中居くんの直江先生。
中居くんの出す声の中での、トーンの低い声がとても好きなので、その渋さにドキドキしました。
そしてなんと言っても、病気と言う自分の秘密の為に苦しむ演技が、余りに自然ではまっていました。
病に冒されて苦しむ役が、天然で似合うというのもいいのか悪いのか判らないですが(笑)、儚さと強さと、その中に色気が感じられて素敵でした。
出だしからそういうシーンで、ドキドキしてしまいました。
中居くん、喋らない役のほうが上手(笑)。
「ベニスに死す」と言う映画で使われた事で有名なマーラーの交響曲第5番のアダージェット(ジョルジュ・ドンのダンスも魅惑的)を直江先生が部屋でレントゲン写真を見ながらかけていたのも、その孤独感とニヒリズム―さらにダンディズムが伝わってくる感じで良かったです。
倫子が直江先生の前で泣いてしまうシーンも、本当に可愛かったです。
倫子の言っている事はある意味正論どおりで、物事の一筋縄では行かない色んな裏表を知らないゆえの駆け出しの純情さ。
けれど、自分を待ち構えている避けられない運命を知って虚無的になっている直江先生にとっては、自分が忘れかけていたもの―失いかけていた「何か」一輪の花のように、見えたんじゃないのかなあと思いました。
そして、蜜柑を拾っていたあの最初のシーンに象徴されていた、彼女の健康さ。
そんなところで、直江先生もまた倫子に恋に落ちたのでしょうか。
固定客―と言うのか、じっくり見て楽しみたい人が楽しめるようなドラマになるのではないかと、その丁寧なつくりに期待感を抱きました。
もの凄い数字を取るようなセンセーショナルさではなくて、もっとゆっくりした古風なテンポで、そう言うのが好きなファンとしては期待大です。
津川さんが演じる行田院長も、なにかしたたかな腹に一物ある人という感じで、重厚感を感じました。
この病院の、ホテルのような豪華さといったら、もうビックリ。
さぞ―儲けているのでしょうね(笑)。
世の中の綺麗な部分だけ見て生きてきた感じのする、エリートな小橋先生と、そのエリート街道から自分の意志で外れてしまった直江先生との今後の意見の対立も楽しみです。
そんな、冷徹な感じの直江先生が、いかりやさん演じる患者の石倉さんに対する時の表情と対応。
とても温かで、あれっ?という感じで心惹かれるものがありました。
菊川さん演じる二関小夜子。
彼女も、何だか裏がある感じで、直江先生へのいきなりのさり気無いキスにもドキドキ。
原作に無い戸田次郎や母の志村清美の倫子への絡みも楽しみです。
最後に、いきなり倫子に抱きつく直江先生。
これって原作にあった、薬の副作用ゆえの行動と被るものがあるのですが、その直江本人の最後のナレーションからすると、又違ったものなのでしょうか。
それとも、身も心も弱っている時に現れた彼女への、咄嗟の行動なのでしょうか。
勿論、秘密を見られかけたことへの誤魔化しの意味も含んでいたのかも知れないのですが。
今後の展開が楽しみです。





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