花模様

『ミント』

ミント。
それは、楚々たるその外見に似合わず、たくましい地下茎を持つハーブです。
このミントが、はじめてベランダで私が植えたハーブでした。
はじめて植えたその時、あまり水をやり過ぎてはいけないと、控え過ぎ、又冬の寒さも手伝って枯らしてしまったことがありました。
けれど、その時根はまだ生きていたのでした。
春になると新芽を吹き出し蘇ったのです。
やがて、2年ほどしてプランターにいっぱいになったそのミントを私は植え替える事になりました。
ミントは根が張り過ぎるので、すぐ鉢は根でいっぱいになってしまい、根ぐされを起こす可能性が在ると聞いた為です。
そこで、春先に私はミントを掘り出し、その時新聞紙の上にすべて根をほぐして一本ずつ分けて並べてやったのでした。
そして、再び間隔をあけて植え替えたのです。
見事な地下茎。
白くて太い根が張り出し、水を求めて下へ下へ。
そしてより子孫を繁栄させようと、横へ横へ。
光を求め、上へ上へと伸びて、すぐに緑色になろうとする茎もあります。
ギリシア神話の冥界の神ハデスに愛されたばかりに、その妻のペルセボネーの嫉妬を受けてこの草に変えられたという少女メンタ。
その彼女の静かにして強い意志が伝わってくるかのようです。

(京都ハーブソサエティ・うすべにあおい6号記載)



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