花模様
【北風と太陽



「北風と太陽」。
イソップ物語にある寓話の一つですが、人の在り方や子育ての在り方、その他いろいろな喩に使われているフレーズです。
ビュービュー吹きつける北風は、かえって人の心を閉ざしてしまうけれど、太陽は人の心を暖かく溶かすことで心を開かせる・・・
結構悪く言われるし、表面的な成功は収めても身になるものは少なそうな役回りの北風ですが、実際、北風については、それだけ攻めて攻めて、それに依って請け負うものもマイナス部分も沢山あるだろうけれど、全部覚悟して向かって行く分においては、それはそれで一つの在り方かなあ、とも思います。
実際そういう役回りも人生で必要なのかもしれないし・・・。
一番手っ取り早い代わりに、請け負うものも多そうです。
けれど、優しくおおらかな象徴に使われがちなこの太陽ですが、こちらの方が逆にかなり、ある意味シタタカとも言える力量と包容力、ついでに気の強さが要りそうです・・・。

最初は柔らかく陽射しを送り、心を開かせ温める。
お互いある意味、価値観は違っても、感じるものの共通点とか妥協点を見つけ出し、分かり合う行為であるとも言えます。
そして、実は温かくて恩恵を与えて呉れるその太陽にはもうひとつの面があって、ぎらぎらとした全てを焼き尽くすかのような熱い陽射しを徐々に送りつけていく。
これぞ、太陽の要求なのでしょう。
ビュービュー吹きつける北風には凍えない様に着込んで閉じこもればそれでいいけれど、この熱さにはお手上げな部分があるようです。
いざと言う時のそれだけの厳しさと強さがあるからこそ、太陽は柔らかくも優しい笑みを浮かべていられるのでしょうか。
そして優しくもなれるのでしょうか。
北欧の詩に、「太陽の教え」として、「輝いていなさい。ただ黙って輝いていなさい。そうすれば全てが良くなるのですよ」というようなフレーズがあるらしく、昔テレビでたまたまその詩の紹介をしていたのを聞いてのうろ覚えですが、意味としてはとても強烈に心に残っていました。
私自身、北国育ちの女で、又この私の「千草」と言う名が、じっと春を待つ、そういう意味を含んでいたので余計印象にあったと言えるのですが。
この生と死を同時にはらんだ太陽が、実は最もきつくもあり、強くもある存在なのでしょうか。
黙っている方が余程怖いことってあると思います。
それにしても、この北風と太陽の寓話は、これ以上にも色々考えさせてくれることがあって、私としてはたいそう興味深い所です。








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