花模様
【輝く季節の中で雑感】







実は私はこのドラマのレンタルビデオ版を96年6月に見たことで、今ほど熱心な中居ファンとなったのでした。
まずはこのドラマの中の中居くんから受けた印象などをお話します。

「護って欲しいなどとは微塵も思っていないだろうに、あんまり一生懸命だから護ってあげたくなる男の子」。
これが、このドラマを見ての、私の中居くんへの印象です。
或いは、
「本物の絹だからこそ、下着にもオフトンにもなれちゃう真綿のような男の子」。
ここに登場する「樋口くん」に対する印象が、普段の中居くんに漠然と感じていた私の意識と重なるものが多くあったのです。
このドラマ、本編が放送されていた時は、私がそこに中居くんが出ていることを知りませんでしたし、見ていませんでした。
もともと、テレビはよく見ると言うのではなくて、自分がこれと思ったのを基本的に見るタイプなので、知らなくて見なかった番組の一つだったのです。
「ナニワ金融道」「スマスマ」「勝利の女神」と続けて見て来て、でも「ロングバケーション」の瀬名くんも結構好きで、その話をしていてもついつい口は「中居くんって可愛い」と動き、口走っていた私に、友人が教えてくれたのがこの番組のレンタルビデオのこと。
夕方それを借りて、一週間でゆっくり見ようと思っていたのに、なんと続きが気になって、一晩で全部見てしまいました。
見ているうちに、そこに出てくるこの繊細で綺麗でナイーブな男の子から目が離せなくなってしまって・・・。
精神的に追いつめられて、試験勉強を続ける為、薬に手を出してしまうあたりの演技。
そしてようやく試験を終えたものの、その後友人の部屋でついにばったりと倒れてしまう。
そのギリギリに張り詰められた弦のような美しさと色気に目を奪われていました。
その美しさが、まだまだ荒削りであるにもかかわらず、表面的な演技ではなくこれを演じている中居正広と言う人の魂の表現とさえ見えたのです。
ガラスのように繊細で、今にも壊れてしまいそうなのに、決して壊れないその奥底の強さ。
それがその後に続きそうな、そんな倒れ方。
そういうものを感じてしまったのでした。
それまでは、好きで興味はあったけれど、どこか「優しいし一見オチャラケて見せてくれたりするけれど、実はどこか近寄りがたいオーラを持った獅子座の男」と言う感じで、私なんかが・・・・・・と今ひとつのめり込むには、どこか躊躇してしまっていたのです。
ガラスのように繊細すぎて、自分が触れたら壊してしまうのではないかと言う不安感。
例えば教室なんかにいたら、私にもとても優しいし、笑わせてくれたりもするんだけれど、どこかその目は私なんかよりずっと年上のオネエサマばかりを追いかけているような、そんな切なく遠く夢見る眼をした少年、と言ったイメージ。
そんな私に、心の切り口を見せてくれたかのような、そんな役柄でした。
その繊細さが、美しさが、ギリギリの強さと脆さがない交ぜになった緊張感が、とても昔懐かしいものと感じられたのでした。
その後、自分自身の、最後の誇りを見せて再生し、不死鳥のように蘇ってくれたこの樋口くんに更に感動し、その後何ヶ月も、中居くん、と言う名を聞くだけで体全身熱くなり、頬が赤らむ程になってしまったのでした(笑)。

勿論、樋口くんには、悲しいかな現実の中居くんに感じるような「リーダー性」はなかった。
けれど、それゆえに、この樋口くんを演じた「中居くん」自身の樋口くんに対する優しい眼みたいなものを、その演技から感じ取ることが出来ました。
樋口くんと言うのは、ある意味敗北者です。
神童ともてはやされたものの、その後伸び悩み挫折する。
神童ともてはやされたばかりに自分を今よりランクを下げることが出来ずに、少し背伸びをした世界の中で無理をする。
よくある「悲劇」なのかもしれません。
それゆえに、ランクを落としていればのんびりと苦労することも要らなかったとも言えます。
小さな世界でイチバンでいられたのかもしれない。
自分をギリギリに追いつめてしまっていた男。
だからこそ又、普通の人なら見過ごしてしまう人の哀しみも痛みも見ることができた。
このドラマの中での教官の、医者及び医学に対する言葉で、とても心に残った言葉があります。
「医学とは敗北の連続である」と。
人間の病、そして死に直面する仕事の中で、医者とは常に自分の非力さと敗北を実感させつづけられるものなのだと。
そしてその中からこそ明日への希望を見つけ出して行かなければならないのだと言うようなことでした。
ここに、樋口くんの存在の意義を感じさせられてしまいます。
そんな樋口くんの台詞の中で、はっとするほどオーラを感じる台詞がいくつかありました。
「お前可哀想な奴だな・・・・俺より先にひとりの女性と出会っておきながら、彼女をそういう風にしか見てやれないなんて」
樋口くんには自分自身のマイナス面さえも逃げずにしっかりと見つめ、受け止めようという「心」が自然に身についていたのかもしれません。

勿論、ドラマ全体としても、毎回深く考えさせられることが多くて、人の命であるとか、生き方であるとか、心に残ったドラマです。
主人がそんなに一気に見なくても・・・と私を笑った翌日、やはりのめり込んで一気に見ていたのでした。
ポリクリ・・・インターンの5人の若者達の青春の物語とも言えたのですが、それ以上に「いのち」と言うことに対して考えさせられてしまいました。
勿論、ひとりひとりの登場人物達の心のドラマとその関わりも魅力的でした。
そして何よりあの教官先生が良かった。
毎回、重い言葉が胸に残り、医学というのか命の持つ厳しさに身が引き締まる思いでした。





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