花模様

『フルーツポマンダーによせて』

冬から春にかけて、私は毎年ポマンダー作りを楽しみます。
そして姫リンゴが出回ると、必ず幾つものちいさくて可愛らしいアップルポマンダーを作ります。
先生にお会いしてはじめて私がマンツーマンで教えて頂いたのが、このフルーツポマンダー作りでした。
ポマンダーはナマモノなのでいつもドキドキしながらつくります。うまく乾いてくれるかな、そんな願いをいっぱいこめてつくります。
クローブを一本ずつ刺していく。 その度に果物の香りが部屋いっぱいにひろがります。
果物の香りはとてもさわやかですが、何かとてもドキドキしたときめきを私に感じさせてくれる香りでもあります。それが甘くスパイシーなクローブの香りとほどよくブレンドされて、ますます官能的に香ります。
さまざまな夢や願いもこめて、クローブを全部刺し終わると、さらにシナモンやカルダモンなどの粉もまぶしていきます。シナモンや、カルダモンの香りが私をとても幸福な気持ちにしてくれます。
そして仕上がるとリンゴには必ず、先生に教わった「ポマンダー」の由来の香りを私はもうひとつブレンドします。
「大人のおんなの香り」とでも申しましょうか?
(ちょっと秘密にしましょう)
一年毎に年を重ねて、「いい大人のおんな」に自分が育っていけるように。
そうした夢を見ながら私は毎年ポマンダーに最後の香りを挿しています。

(京都ハーブソサエティ・うすべにあおい2号掲載)



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