花模様

舞台鑑賞





「オペラ座の怪人」  「初春大歌舞伎」  「京都レビュー」  「西遊記」  「リチャード三世」  「ライオンキング(Disney’s)」  「50回記念京都薪能」
「月晶島綺潭」  「スーパーイルージョン・デビッド・カッパーフィールドマジックショー」  「スーパー歌舞伎 新・三国志」
「ソング&ダンス」  「LOST SEVEN」  「ゴスペル・イン・クリスマス」  「X'mas JAZZ NIGHT ' 99」



「オペラ座の怪人」

劇団四季。
1998年よりロングラン公演。
赤坂ミュージカル劇場にて。

これは、子供に見たいと言われたので東京の公演のチケットを取って1999年の1月5日に行った公演でした。
「金田一少年の事件簿」でこの芝居の名が出てきたので興味を持ったようでした。
早くからチケットを取っていたので、前から4番目くらいで見ることが出来ました。
全編歌形式のミュージカルで、劇団四季版のCDもあったので買って来て、家で舞台を思い出しては子供と今でも楽しんでいます。
最初の大シャンデリアが落ちるシーンや、小舟に乗ってファントムの隠れ家に向かうシーンなど、全編の演出もとても美しかったです。
思いがけない演出というのか、観客を巻き込むような大掛かりな舞台で、今でもオペラ座の怪人のテーマのフレーズを聞くとドキドキしてしまいます。
この赤坂ミュージカル劇場も、格式を感じてとてもいい劇場でした。
オペラ座の怪人のグッズなんかも売っていて、マスクのバッジと原作本、Tシャツ、CDを買ってきました。
Tシャツの柄は、黒地にファントムのマスクと赤い薔薇。
ファントムには紅い薔薇が良く似合います・・・。

「初春大歌舞伎」


1999年初春。
大阪松竹座にて。

前年にスーパー歌舞伎を見て以来、お正月にぜひ歌舞伎を見たいと思っていました。
きものを着て出掛け、幕の内弁当を食べながら、芝居を見る。
西洋の舞台を見るような、幕間にラウンジに出て、シャンパンかコーヒーをいただくのと又違った風情と文化がある気がして。
そして、家に連獅子の木目込み人形があるので、これが舞うのを子供に見せてやりたいと思っていました。
ところがこれは、歌舞伎は初めての経験だった私は知識不足で、昼と夜では出し物が違うことを知らなかったので、夜の部を選んだ私はこれを見せてやることが出来ませんでした。
代わりに見たものは、玉三郎の「京鹿子娘道成寺」。
これが見られたことは大人にはとても嬉しかったのですが。
子供はオトコノコなので、連獅子の方が良かったかもしれないけれど・・・
最初の「誓いの助太刀」は、小さな子供が登場したりして、とても興味を示してみてくれました。
最後のは、近松の心中もので、話としては暗いのかもしれませんが、大阪弁で普通のスピードで話してくれて、結構笑わせたり軽妙なシーンがあったりしたので一番興味を示して見てくれていました。
イアホーンで聞く解説付きだったのも良かったようで。
席も前から4番目。
花道の真横でした。
こどもにはスーツを着せ、私は何とか1人で帯を結んできものを着て出掛けました。
寒い冬で風も強い日でしたが、きものは温かかったです。
幕間には少し張り込んで、ミニ懐石風のお弁当を地階で予約して、夕食としていただきました。
日本の文化伝統を味わうことが出来て嬉しかったです。

「京都レビュー」


1999年1月。
吉本興業。
シアター1200にて。

1月の吉本興業の公演でした。
お正月らしく、吉本興業のミュージカル部門による、京都や日本の伝統を取り入れたレビューが披露されました。
その合間に、その日のゲストの吉本興業のタレントがコントを披露してくれます。
お正月の三が日や、土曜日曜祝日は、テレビでも有名なタレント・・・桂三枝、大助花子、などなどの方々が出演されるのですが、その他の平日は、若手のホープによるコントとなります。
私が見た回は、ちゃらんぽらんがゲストタレントでした。
私は知らなかったのですが、後で聞いたら主人は知っていました。
結構芸歴は長いんだそうです。
実際、思った以上に面白かったし、一緒に連れて行った子供も爆笑していました。
集まった客筋を考えてローカルなネタや、その前日に亡くなられた若井小づえねえさんの話とかもしてくれていました。
平日ということもあり、集まった人数が少なかったので(爆)、なんと一番前の真ん中の席で見ることが出来ました。
第2部は梓みちよショーでした。
流石にムードはあるし、歌も素晴らしかったです。
このシアター、JRと吉本とジャニーズの共同経営であったそうですが、現在ジャニーズが撤退したので、長期休業の模様です。
素晴らしい劇場だし、同じフロアにあるレストランやカフェもなかなかにオシャレで美味なので、もっと幅広くいろんな観劇を見せてくれる劇場になって開いてくれることを期待しているのですが・・・。
惜しいです。

「西遊記」

1999年2月。
大阪近鉄劇場にて。

先日「いいとも」のテレホンショッキングに出られた筧利夫さん。
そこでこの舞台についても話しておられたのですが、舞台中をローラーブレードを雲代わりに履いて駆け巡る、と聞いて、そしてそれがかなりパワフルらしいのを感じて、日が差し迫ってたけど思い切ってチケットとって行っただけの事はありました。
とにかく凄かった・・・まるでコンサート感覚。
後ろの方だったけど真ん中で、900人という狭い客席だったのが幸いでした。
全体を見るにもサイコーの席でした。
光は駆け巡り、音は駆け巡り、役者のパワフルな芝居がその中で炸裂する・・・
しかも、吉本興業顔負けの笑いのセンスでのコントをふんだんに盛り込んで。
とにかく連れて行った子供が喜びました。
ある種、「ファイナルファンタジー」とかテレビゲーム風の大スペクタクルが目の前で再現される、そんな感じもあったのです。
筧利夫の孫悟空が、客席真上を跳び上がるようにして宙を舞います。
カッコイイ!!!!!なんですが、その時孫悟空は丁度ピンクのパンツを頭から被ってて、観音様の呪文に寄って外せなくされてました(¨;)
笑える・・・
そしてあの本来の孫悟空の持つハチャメチャなエネルギー。
子供が、「SMAPコンサートの中居くんのソロを思い出した」と言いました。
感涙。
だって、こういうの見る度、ああ、中居くんが見たらさぞ面白がるだろう、とか何かの参考になるのでは、と常々思ってしまうんですもの。
特にこういう演出が凄くてスペクタクルなものは。
それを子供が指摘してくれるなんて嬉しいです。
寒かったけどいい一日でした。

「リチャード三世」

1999年3月。
シアタードラマシティにて。

素晴らしかった・・・・・
市村正親氏がまたセクシーで動きが奇麗で・・・
最初のシーンでの真っ赤なマントをひらりとはためかせながらの動き。
片足を引きずっている役なのにその動きが美しく色っぽいのです。
そして、流石ミュージカル出身の人なのでセリフに音楽性も感じました。
先日BSで「リチャード三世」を平幹二郎さんのでやっていてビデオにだけは撮ってあるのですが、平さんは貫禄もあって素敵だと思うのですが、市村氏のリチャードは繊細でアンニュイで、この「醜いせむし男」「希代の悪役」を哀愁を込めて実にうつくしく演じて下さいました。
しかも、この方のコミカルなセンスと来たらミゴトでした。
含みがあってユーモラスな引き込む笑いを、じわじわと見せて下さいました。
劇団四季では「オペラ座の怪人」のファントムもされたとか・・・見たかった・・・
あのビッコひきながらの美しさとカリスマはファントムにも通じそう・・・自分の夫や義父を殺されながらついつい彼の甘言にほだされ恋してしまいそうになったアン王妃の心もそう考えると何だか肯ける・・・
そして又、宝塚出身の女優が二人も出てらして(有馬稲子&久世星佳)、久世さんは男役だっただけあって、若いけれど声にオーラを感じました。
血塗れたイングランドの歴史・・・薔薇戦争などと、その優雅な名前に似合わぬ近親間での恐ろしい殺戮の時代・・・
いえこの殺戮の歴史はずうっと続いてきたものではあるのだろうけれど・・・
新聞のコラムにも載っていた、動物の死骸がオープニングからドサドサと舞台に降ってくるという演出・・・
凄い迫力でした。
でも、どんなにブキミなものかと思っていたけれど、薔薇の花も一緒に落ちてくるのです。
そこの辺に何とも言われぬ美学というか、はなむけを感じてしまいました。
そして、最後もこのシーンで終わって、なので延々と繰返される血塗られた歴史という感じがしました。
実際このリチャードがほんとうに極悪人だったのかは実はミステリーだそうなのですが、最後にリチャードを打ち負かす「リッチモンド伯」。
確かに清廉潔癖な神の申し子という感じなのですが、妻を何人も殺し、娘のエリザベス一世を幽閉し、男色家だったとも言われる有名なヘンリー八世のお父さんになる訳で。
ううん・・・・・歴史は時の権力者によって作られるとはよく言ったものです。
やはり悪の華たるリチャードの孤独と哀愁に注目してしまいました。
そもそも、リチャード極悪人説というのも、このリッチモンドの子孫であるテューダー朝による歴史な訳だし・・・
そして、パンフレットを読んでて気付いたのですが、NINAGAWAシェークスピアが海外、そしてシェークスピアの本場のイギリスで高く評価される理由の一つが、言葉の世界でしかシェークスピアは表現できないと思っていたらしい人達に、言葉の違いを越えてこのNINAGAWAシェークスピアが、視覚の世界で表現してくれたから・・・というくだりがあるのです。
それでひどく納得しました。
視覚や聴覚に訴えたこのNINAGAWAの世界。
だからこそ、うちの息子も喜んで観られるのだ・・・と。
イイ意味で判りやすいと感じました。
イギリスの王朝のお家柄の問題も、私自身はヨーロッパが昔からダイスキだったので多少知ってはいたけど、肌で伝わってきましたし。
「ヘンリーのお妃」などと言うヨーク公夫人(リチャードやエドワードなどの王の母)の言い方とか興味深かったです。
又、宇崎竜堂氏のドラムンベースの音楽もミゴトにマッチして、ノリもよく、私達観客も市民に見立てて巻き込む演出とか、楽しかったです。

「ライオンキング(Disney’s)」

劇団四季。
1999年4月よりロングラン公演。
大阪MBS劇場にて。
柿落とし公演。

まさにアフリカの大地の圧倒的な美を感じさせる、見事なオープニングでした。
非常に視覚的な美と聴覚的な美を一度に感じさせる舞台。
アフリカの広大なサバンナの夜明け。
象やキリン、バッファロー、サイ、シマウマ、カモシカ・・・・・大空を舞う色とりどりの鳥達・・・
キリンが出てきた時、うちの子供などはホンモノと見まごうたばかりでした。
客席の後ろから次々に彼らは登場し、そこはまさにアフリカでした。
それらが、アフリカのリズムのビートに乗って登場するのです。
縫いぐるみを被ると言う発想ではなく、美術的な工夫を凝らした見事な「マスク」と俳優との一体化。
この「マスク」という発想そのものにアフリカの美を感じてしまいました。
今回の席は、もう2度とこんないい席は取れないのではと思うほどの上席。
一番前の列の真ん中でした(驚)。
以前、夜中にテレビでこの舞台のメイキングをやっていましたが、
「僕はロックミュージシャンだからこういうのを見ると血が騒ぐ」
と案内役の人が言っていました。
その位、見事なビートに合わせた舞台でした。
劇団四季のミュージカルは、歌も踊りも素晴らしいですし・・・・・
そして、ストーリーと共に、アフリカの大地の悠久の美と大自然の厳しさを感じさせてくれたのです。
ヤングシンバを演じた子役の子がたいそう可愛らしかったです。
目を一杯に見張らせて、きらきらとして芝居をしていました。
動きがもう、ライオンの子供そのものという感じ。
子猫みたいで、そのくせ気が強いのです。
ヤングナラとじゃれ合うシーンもそうでした。
ライオンってネコ科なのよねえ、としみじみ思いました。
しっぽを垂らしてうちしおれて歩く姿もあかちゃんライオン=子猫ちゃん(^^)。
一緒に行ったうちの子と同い年の子でした。
お目付け役のサイチョウのザズをまいてガールフレンドのナラと空想の世界であそぶシーンなど、本当に子供の夢がたっぷり感じられました。
その子があんまり可愛かった事もあって、父王のムファサの愛情が余計ストレートに伝わって来て、ハイエナから救い出した後の二人のシーンに、思わず涙してしまったほどでした。
この後直ぐに、このムファサが弟のスカーの陰謀にかかって死に到る事を思い出してしまったから・・・
それにしてもこの舞台、演出も素晴らしくて目が離せなかったし(後ろからも次々役者が登場)、目の前でドラムその他を演奏していてくれるので、そこもまた見所だったのですが、随所笑わせてくれて盛り上がりました。
ヒヒの呪術師ラフィキや、サイチョウのザズ、ひとりぼっちになって傷ついていたシンバを助けてくれた新しい仲間のイボイノシシとミーアキャットなど(笑)。
この新しい仲間はディズニーらしいと思わせる扮装なのですが、コテコテの大阪弁を喋るのです(爆)。
そしてラスト。
見事な大団円。
そしてアンコール。
最後は観客も全員総立ちでした。
なお、この公演は、新しくなった大阪の劇団四季の本拠劇場で柿落としでした。
とてもきれいな劇場で、気持ち良かったです。

「50回記念京都薪能」

1999年6月1日・2日
平安神宮にて。

優美にして長い夜が更けて行く京都薪能。
その初日の6/1に行ってきました。
能は、学生の頃国文科だったので学校から観に行った事もあり、京都に来てからはこの薪能の第36回に行ったのと、八坂神社の「福鬼の儀」というのにも数回行った事があるのですが、古典の内容が少し分かっている程度で詳しく知っている訳ではありません。
けれど、動きが先ず綺麗であるのと音が綺麗である事。
そしてその古典の内容に興味があって、それで楽しんで見て来る事が出来ました。
「翁」「鶴亀」などは、筋よりもその目出度さを楽しんできました。
1分の時間を10分に感じる事が出来る、その悠久の流れがとかく忙しい現代の生活から遊離させてくれる思いです。
何よりこの平安の都の神殿の前でこの舞を見る事ができる。
それが何よりこの「薪能」によせる憧れの一つでありました。
仕舞いの「熊坂」は、大きな長刀を勇壮かつ優雅に振り回し、それがとても美しかったです。
やがて薪に火がともされ、あたりは暗くなり、光と影の具合がとても幽玄な感じになってきて、炎のもつ美しさを改めて感じる事が出来ました。
狂言「業平餅」。
色男の業平が、結構端から見れば笑える状況に追い込まれるお話。
高貴なお方ゆえ世情や世俗に疎い訳ですが、そこら辺の言い回しや持って行き方が、くすりくすりと笑わせてくれます。
結局は悪女(醜女)の深情けの話で、業平殿お気の毒、さりとて娘御もお気の毒、というお話。
業平殿のあたふたぶりが笑えた狂言でした。
「葵上」は、源氏物語から。
般若の舞と存在感が、とても印象に残りました。
「乱(みだれ)」。
海の精とも言うべき海中に住むふたりの猩々が、波のうねりやそれを感じさせる打ち寄せるリズムの中で乱れ舞います。
赤一色で不老長寿を感じさせ、大自然とこの平安神宮の更ける夜とも調和して、とても目出度く祈りさえも込められているかのような美しさでした。
そしてこの薪能。
かしこまって観るのではなく、くつろぎながら鑑賞できたことも、とても素敵でした。
京都の文化伝統のひとつでもあり、まさに一種のお祭りという感じでもあったことでした。

「月晶島綺潭」


1999年6月11日から6月27日。
稲垣吾郎主演。
中島かずき(劇団☆新感線)脚本。
人形制作・人形遣いホリヒロシ。
イリュージョン:プリンセス・テンコー
R.U.Pプロデュース。
つかこうへい事務所協力。
銀座セゾン劇場にて。

中島かずきの、流行も取り入れた飽きさせないユーモアの利いた脚本運びが、楽しかったです。
稲垣吾郎の為に書き下ろした役どころというだけあって、吾郎ワールド炸裂の、彼のキャラと持ち味を活かした舞台と感じました。
吾郎ちゃんはやはり可愛い・・・と感じたこの舞台。
ちいさな人形(ホリヒロシの定番のものではない)に自分の言えないことを語らせ、それに対してひとりツッコミして見せる吾郎ちゃんが、「SMAP×SMAP」その他さえも連想させるのです。
けれどそこで終わらせず、昭和初期の2・26事件直前の日本を舞台としての、魅力的な物語にと仕上がっていました。
この時代の軍部は、本当に細菌兵器などの化学兵器を密かに開発し、研究していたとの噂も、色々に伝えられているようです。
月晶石。
ダイヤモンドよりも高い値で大陸で取り引きされていたというその魔性の石が、物語の中心です。
人の心のマイナスの部分、暗闇の部分をエネルギーとして成長する石。
人の心に幻覚を見せる石。
記憶喪失の謎の人形遣い師。
自閉症ぎみで人形しか信じていない様に見える彼。
結構ナイーブで、それでいてナルシストで、すぐ落ち込んでしまう彼。
その彼の、心の秘密が少しずつ明かされて行くのです。
月晶島と呼ばれるその島は、この月晶石を創り出す為の化学実験が行われた島でした。
その研究所が爆発して、この人形遣い師「井出くん」はその最後の生き残りとされていました。
その彼を、軍の倉田少佐が付け狙うのです。
この少佐と井出くんの関係や如何に。
そしてこの石の製造の秘密が、物語に大きく関わってくるのです。
色んな人の憎しみや悲しみを吸って成長する月晶石。
これを使って人々に幻覚を見せ、世界征服を企むのですが・・・・・
その中でのこの生き残りの井出くんの本当の正体は・・・・・
本当は、人形と一日中対話していられれば幸せなのであろうこの心優しきムード派の井出くん。
その彼に、この時代と人の心の欲望と悲しみが陰を落とし、変身をさせたのでしょうか。
けれどその彼を信じて待っていた女性がいた。
本当に愛しい恋人である彼女のことを、記憶を無くして忘れながらも、彼女にそっくりの美しい人形を井出くんはこしらえ、大切にしていたのです。
その彼女との本当の愛が、憎しみや悲しみから、井出くんの心を開放することが出来たのでしょうか・・・・・
この彼女の人形が、ホリヒロシの等身大の人形でした。
ちょっと冷たく貴族的な面差しなのに、それだけでは済まない奥深さを感じさせるこのホリヒロシの人形が見事でした。
人の心の醜さや悲しさを見透かしながらも、どこか慈愛に満ちた眼で見下ろしている・・・・・・
この人形との絡みが割に少なかった気がして、それが少し残念でした。
人形との対話が、共演が見たかったのに、それは最後のダンスのシーンに留まっていた気がして・・・
井出くんの性格を彩る為には素敵な恋人ではあったのですが。
何故井出くんが人形遣い師であるのか、単に元々人形遣い師であっただけなのか、そのへんの心の描写がもう少し欲しかったかなあとは思ったのですが。
何故この人形遣い師が研究所員として中心に立つことが可能だったのか。
倉田少佐との繋がりだけでは弱かった気がして。
つまり、私には、心優しく自閉症ぎみの、それゆえにくすりと笑えてしまったりする可愛い井出くんという存在の方が強く心に残ってしまい、ミステリアスで悪の権化であるかのようなもうひとりの黒い井出くんの存在が、ほんの少し弱かったと感じられてしまったということなのでしょうか。
とはいえ、井出くんは、全体としてとてもチャーミングな存在と感じられました。
ラストもとても幻想的で美しかったです。
又、この倉田少佐役の仲谷昇氏と来たら、本当に見事な重厚感でした。
何と言っても声にオーラがあるのです。
又、羽場裕一氏、山崎銀之丞氏といった方々も見事な俳優さんでした。
そして一番驚いたのが、光浦靖子が実にイイ味を出す「女優」であった事。
何と言うのかこの人は間の取り方とかタイミングがいいのでしょうか。
物語に膨らみを与えて下さいました。

「スーパーイルージョン・デビッド・カッパーフィールドマジックショー」


1999年7月31日から8月1日。
神戸ワールド記念ホ−ルにて。

世紀の大マジックショー、ということで、家族で行ってきました。
実はこのチケットを取った時は、そんな話題の人だとは知らなかったのですが、実際に行った感想としては、ラスベガスあたりで見たらもっと凄かっただろうなと思えるほどロマンチックで豪華で素晴らしい、一種のエンターティーメントという感じを受けました。
そのくらい彼は色っぽかったし、サービス精神も旺盛でした。
美女を引き連れ、スーパーモデルと浮き名を流し、婚約するほどのことはある・・・という感じです。
かなりの色男ですが、若い頃より渋味も出た今現在の42歳が更に素敵かも・・・・・
一瞬にして消えて、次の瞬間煙のようにはるか離れた観客席に現れたり、どう見ても紐無し糸無しで空を飛ぶフライングイルージョン(&観客をひとり抱いて飛んだ)といい、マジックとしても素晴らしく、どう考えても種明かしが出来ない部分があったのですが、そんなことより、素晴らしい夢のようなショーでした。
アリーナ席を回ってお客さんと対話して舞台に上げたり、そういうのを見ていると、これはラスベガスの豪華なホテルのディナーショーで行うことも可能なイルージョンという感じがしました。
そのエスコートぶり、そして巧みな話術。
ノリのいい参加型のアメリカの観客ならもっと盛り上がるんだろうなあという印象も受けました。
日本人が日本でやったら寒くなるかもしれないジョークや、ギリギリセクハラネタ(上手にクリントンをもってきてました)も、オシャレな言葉のお遊びとして観客ともに楽しめる雰囲気。
舞台に上げた女性の観客には、それが当然のように別れ際に(笑)お互いにキスと抱擁のご挨拶。
賞味2時間ほどのショーでしたが、じっくり楽しめて、簡単なカード手品にも全員参加することが出来て楽しかったです。
ちなみにウェブサイトもあるらしい。
じっくり見てみようと思います。
ところで最後に舞台に上げられて地球上から(?)消されちゃった13人の観客はどうなっちゃったんでしょ(笑)。

「スーパー歌舞伎 新・三国志」


市川猿之助プロデュース&主演。
1999年10月公演。
大阪松竹座にて。

劉備玄徳は実は女だった・・・という大胆な発想のもとに繰り広げられるこの「新・三国志」。
劉備の名は落ちぶれた貴族から買い取ったものだという設定。
戦乱のこの世を平和が訪れる様にとの願いを、女の身でかなえる為に利用するという訳なのです。
そんなところが奇想天外なこの舞台。

そして又、のっけからの京劇風の演出がまず素晴らしかったです。
黄巾の乱より始まるので、沢山の黄色の旗をはためかせての、中国から参加の14人の京劇俳優の見事な立ち回りに目を奪われました。
劉備役は市川笑也。
きよらかで慈愛深く、母の如き和の象徴として、ほんとうに美しかったです。
誇りと夢。
戦乱の世で、この「和合」という桃源郷を求めるという事は至難の技。
しかし、ここで日本的な「和」の精神をこの作品に感じました。
そして、これは至難の技でも、やはりこれからの世界的なテーマでもあると思います。
それが「夢」。
そしてこの男装の麗人の役回りのこの物語の劉備の本名は、玉蘭(ぎょくらん)。
そしてそんな気高くもか細い彼女を支えるのが男気と情と深い教養に満ち溢れる関羽―市川猿之助。
血気盛んな武士(もののふ)・・・厚い情にも溢れる豪傑、張飛―市川猿弥。
諸葛孔明 ―市川右近。
このひとの冷静沈着ながら情にも厚い策士ぶりも魅力的でした。
この長い物語が、
劉備が女だったという設定と、それを中心とした男達の思いと熱い男の友情を骨格として、見事に4時間近くの舞台に凝縮されていました。
もともとこういう男同士の友情には愛情と紙一重の部分があるようですし、中国では偉大な指導者を母と捉える傾向にあり、毛沢東もそうだということですが、この劉備も又母と喩えられていたので、より判りやすくしっくりと馴染んだようでした。
「泣いて天下を取る劉備
という言葉もあるそうです。
そして又魏や呉の将軍達が、関羽に男惚れするその思いも伝わってきました。
それにしても全編に渡る素晴らしいパフォーマンスと絢爛豪華な色合い。
大胆に30トンもの水を豪雨として舞台に降り注がせる演出。
びしょぬれになって関平(市川亀治郎)が大立ち回り。
客席の花道の方に出て来てするものだから、観客に水がかかるのです(笑)。
私達も花道の横だったのですが、水がかかる客席の手前でした。
あらかじめ、かかる人達にはビニールのシートが渡されているのでした。
けれど、途中何度もこの
亀治郎がいたずらっぽく髪振り回して観客に水をかけてそれが又舞台と観客が一体となった素晴らしい演出となっていました。
この亀治郎、「アンファンテリブル」とかつて呼ばれたお方だそうで、その表情にとても愛嬌があり華があって楽しかったです。

「ソング&ダンス」


劇団四季。
1999年10月17日〜12月5日公演。
近鉄劇場にて。

ミュージカルと歌の中間のような舞台と言うことで、どのようなものだろうと楽しみにして見てきました。
まるで、ブロードウエイかヨーロッパのショウを見に行ったかのような、華麗なダンス・ダンス・ダンス。
見せる歌、という感じ。
歌を取り入れた物語でなく、物語性を持たせたソングの演出と言う印象を受けました。
それは又、劇団四季の1950年代以来のこれまでのミュージカルの中のソングの部分をコラージュして、一つのモニュメントとして今回舞台にしたと言う印象も受けました。
タップダンスやヒップホップ系のアップテンポのものも多くて、歌も素晴らしかったのですが、まさにダンスライブと言う感じでした。
ついこの間見たSMAPライブの「踊るSMAP」「見せるSMAP」に通じるモダンさと、伝統的なクラシックさの融合。
一曲一曲を如何に踊るかということを追究した舞台と言うことでしたが、劇団四季ファンの為のコンサート的なライブ感覚もあって、とても楽しい舞台でした。

「LOST SEVEN」


劇団★新感線秋公演。
11月1〜7日大阪。
羽野晶紀主演。
シアタードラマシティにて。

羽野晶紀ってアイドルだったんだ〜と改めて思いました。
性悪の可愛いお姫さま、レッドローズ役の彼女が可愛かったです。
その存在感はみごとにアイドルでした。
相手役の男性もカッコ良かったです。
劇団新感線は、大阪芸大の学生がもともと始めた劇団だとか。
テンポもノリもよく、コミカルで、それでいてとても幻想的。
どんどん観客を引っ張って行く物語の空気にドキドキさせられてしまいます。
ファンタジーと言うことを改めて考えさせられました。
音も素晴らしく大スペクタクル。
一種のライブ感覚だなあと改めて思いました。
幕間の音楽に「ルパン三世」初回の作品のテーマを使う当たりも心憎い感じでした。
素材は「白雪姫」。
その中の「鏡」の持つ神秘性と怖さが良く表われていました。
それと、ミステリーにも似た意外な展開と謎解き。
流石に観客は若い人や男性で溢れかえり、とても賑やかでした。
15分の休憩を入れて、4時間に渡る公演。
あっという間に時間が過ぎました。
最後に、久しぶりにこの舞台に戻ってきた晶紀ちゃんの舞台挨拶での締めくくりでした。

「ゴスペル・イン・クリスマス」

出演/HEAVENLY CHOIR(ヘヴンリィ・クワィアー)。
ゲスト/CHARLIE(チャーリー・コーセー)。
12月9日。
近鉄劇場にて。

やはりブラックの人達の歌って凄いなあとしみじみと思ったライブでした。
ノリもいいし、歌声にソウルがあるという感じで、ビリビリきました。
日本にも言霊というのがありますが、歌声そのものの中に髪が実在するという感じ。
まさにライブ。
ジャズやロックの源であるエネルギーみたいなものを感じました。
途中からスタンディング。
まるでSMAPのコンサートみたいにノッて踊ってきました(笑)。
盛り上げ方とか、観客の参加のさせ方とか、見事だなあと感心。
最後に、観客をステージに招くので、私もせっかくのチャンスと行って来ちゃいました(#^.^#)。
近鉄劇場の舞台を踏めたのも貴重な体験。
シンガーのブラックの女の人が握手の代わりに抱擁してくれました。

ゲストのチャーリー・コーセー氏。
日本人なのに物凄く歌が上手いなあと感心していたら、「顔とか余り出さないので自分の事は皆さんあまり知られないでしょう」と、けれど自分が「ルパン三世」のチャーリー・コーセーだといえば判るでしょうとおっしゃる。
そしたら、その一言で会場は騒然。
そう、その歌声はまさに、初回ルパンのテーマソングを歌うあの素晴らしい声と同一だったのです。
先日来スカパーでルパンを見ていた事もあって、私でもすぐ判ってしまいました。
会場から思わず拍手が沸き起こってしまって、「ゴスペルなのに〜〜〜」とチャーリーさんが苦笑するにもかかわらず、余興として(笑)歌う事になってしまいました。
そりゃもう嬉しかったです〜〜〜
生の「ルパン三世」。
“ワルサーP38”の所で、生ならではのとてもゆっくりとテンポを下げて歌って下さったその演出が、素敵でした。


「小曽根真 ザ・トリオ―X'mas JAZZ NIGHT' 99―」

出演/小曽根真(Pf)、クラレンス・ペン(Dr)、北川潔(Bass)
12月20日。
近鉄劇場にて。

大人のクリスマスの夜の為の素敵な数々の曲でした。
所謂クリスマスソングのジャズバージョンというのではなくて、しっとりとした曲の数々を聞かせてもらいました。
哀愁のこもったJAZZのメロディ。
特に最後の「ホーム」という曲。
クリスマスにふさわしい、あたたかな中に荘厳なものを感じました。
アメリカなどでは、クリスマスはショッピングやカップルの為のものというよりも、日本の正月のようにファミリー、家族で過ごすものという考え方がメジャーだと言われます。
それにふさわしく、しっとりとした曲でした。
これを私は子供と見にいったのですが、子供には若干子守り歌になったみたい(笑)。
ドラムスのハイテンポのメロディを聴きながら、何故かウトウト夢心地になったらしい。
それはでもそれで一つの聴き方かも?
ちなみに私はJAZZを聴くとカクテルかシャンパンを傾けたくなります。



トップ アイコン
戻る



花模様