薔薇への想い




薔薇。
古来人々に愛され、私ばかりでない多くの人々の憧れを受けて来た、ギリシア神話のアフロディテー(ビーナス)の象徴でもある花です。
その薔薇の英名である「Rose」はギリシア語のrhodon(赤い)に由来しますが、それは薔薇の原種ローザ・ガリカが、強烈な香りと深紅の花びらを持っているためです。
けれど、その原種である野性の薔薇は昔、すべてその花は小さく、しかも白薔薇のみだったそうです。
それがある時「インドの薔薇」として人々を驚かせた紅の薔薇が登場しました。
それは、今から見ると、薄いピンク色を呈した薔薇であったようですが、当時の人にしたら驚きも手伝って何とも言われぬ深紅の薔薇に見えたようです。
それをもとに、改良されていった結果薔薇は現在の色を持つようになりました。
薔薇は、現在本当に様々な色を持ちますが、その種類の豊富さは、いかに人々がこの花に憧れ、夢見てきたかを感じさせてくれます。
私自身は、子供の頃から近くの医院に咲くつるばらがとても好きでした。
甘すぎず、さわやかな香りを持つ、薄いピンクの薔薇の垣根があったのです。
私はその花の咲きかけの頃の淑やかな姿をした蕾が一番好きでした。
又、白薔薇は別格の高貴さを持つ凛とした花として好きでした。
現在は、マダムビオレなどの筒状の縦長の紫の薔薇も好きです。
成長と共に、自分の好む薔薇の色も多様になるようです。
胸の奥の赤を表す花の象徴として、30代半ばを過ぎた現在になって、ようやく赤の薔薇も好きになりました。
けれど、私にとって薔薇のその何よりの魅力は、その棘に由来するのではと最近思い始めました。
鋭い棘で、その優しい身を包む薔薇。
その薔薇が、誇らかにその棘の中で微笑むのを見る時が一番好きです。






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