【ローズ】



薔薇。
それは古来より、多くの人に愛されてきた花々の女王です。
その花は英国の貴族の紋章にも使われ、化粧水、香水、薬、香味料としても貴重な存在でした。
クレオパトラはこの薔薇の花びらのお風呂でその肌を香らせ、ローマ式の宴会場は、花びらの花輪で飾られていたのだとか。
その原種である野性の薔薇は昔、すべてその花は小さく、しかも白薔薇のみだったそうです。
それがある時「インドの薔薇」として人々を驚かせた紅の薔薇が登場しました。
それは、今から見ると、薄いピンク色を呈した薔薇であったようですが、当時の人にしたら驚きも手伝って何とも言われぬ深紅の薔薇に見えたようです。
その後、品種改良も進み、薔薇の花は大きくなり色も様々に咲き乱れるようになったのです。
この薔薇の英名である「Rose」はギリシア語のrhodon(赤い)に由来するそうです。
薔薇の原種ローザ・ガリカが、強烈な香りと深紅の花びらを持っているためです。
日本で自生する薔薇は野イバラや浜茄子で、浜茄子の実は生薬としても利用されています。
ローザ・カニーナの実でローズヒップスと一般に呼ばれている薔薇の実のハーブティは、ビタミンCの宝庫で、杏のような甘酸っぱい味のするルビー色のお茶です。
利尿作用も高いものです。

その精油は、採取法により次の種類があります。
@ローズ・オットー
未明に摘んだ開花直前の花を水蒸気蒸留して得たローズ精油です。
一滴を採るのに約40個の薔薇の花を要します。
蒸留時の留出水が、ローズウォーターです。
このローズウォーターは、結膜炎の目を洗浄するなどにも用います。
Aローズ・コンクリート&ローズアプソリュート
開花直前の花を石油エーテルで抽出したものがコンクリートで、さらにアルコールで処理したものがアプソリュートです。

アロマテラピーでは主にローズ・オットーを用います。
薔薇の精油は主としてモロッコ、トルコ、フランスで栽培・生産されていて、その種類によってかなり香りが違います。
ローズ・オットーはブルガリア産のものが主流で、このブルガリア産ローズは数あるローズの中でももっとも高価なものとされ、他の薔薇は人によっては肌に対して少々重いこともありますが、このローズは殆どの肌質に有効です。
血液の循環を活発にし、毛細血管の働きを強化する作用を持っています。
女性にとっては、子宮のよい活力剤になり、緊張を鎮め、生理周期を正常化させてくれます。
なので妊娠中は逆に使用不可です(マッサージの場合)。
男性に対してもホルモン放出を促す働きなどを持つようです。

薔薇の花びらは、エディブルフラワーとしても有名で、ローズワインの起源は古代ペルシャにまでさかのぼり、ローズウォーターはゼリーなどにも使われます。
ジャムやビネガー、シロップ、パイの付け合わせとして重宝されてきました。
ポプリの材料としてもポピュラーで、又アラビアでは地中深くこの花びらを埋めて保存し、お客様のある時はそれを取り出して水に浮かべて香らせるというおもてなしをするならわしがあるそうです。
又、タッジィマッジィというハーブの小さな花束を作るには、まず完全な蕾を中心に置くという決まりがあります。
この薔薇には、その色によってそれぞれの意味が違います。
白薔薇は花嫁、キリスト教の洗礼を受ける子供、葬式に参列する少女に。
ピンクの薔薇は若さと貞淑さに。
深紅色は充実と光輝、征服者の花輪。
こうした約束事もあるようです。
なお、日本の国花でもある桜、そして梅・桃などすべてバラ科の植物です。





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